現代に鮮やかに甦る
迫力満点の戦国絵巻
「相馬野馬追」
国の重要無形民俗文化財に指定されている『相馬野馬追』は、一千有余年の歴史がある平将門公ゆかりの伝統的な祭り。お行列や、甲冑競馬、神旗争奪戦、野馬懸などが3日間に渡り繰り広げられ、豪華絢爛な時代絵巻が甦ります。
相馬野馬追のはじまり
『相馬野馬追』の起源は、相馬氏の遠祖である平将門が野馬を敵兵に見立て行った軍事訓練と言われています。
明治になると、武家の行事だった相馬野馬追は消滅の危機に瀕します。
それを、相馬家の氏神である妙見様を祀る相馬三社(相馬太田神社・小高神社・中村神社)の神事として形を変えることで、伝統が継承されてきました。
また、野馬を奉納することで、地域の平和と安寧を祈る神事として、飢饉や戦争の最中でも途絶えることなく続けられ、東日本大震災の年にも規模を縮小して執り行われました。
相馬野馬追
野馬追が行われるエリアは、江戸時代の相馬中村藩の広さとほぼ同じ。
各郷の騎馬武者は、それぞれが属する3つの神社の神輿にお供をして野馬追に参加をします。
お供する神社 | 郷名 (相馬中村藩の治めていた江戸時代の地名) |
現在の市町村 |
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相馬中村神社 | 宇多(うだ)郷 | 相馬市 |
北郷 | 南相馬市鹿島区 | |
相馬太田神社 | 中ノ郷 | 南相馬市原町区 飯舘村 |
相馬小高神社 | 小高郷 | 南相馬市小高区 |
標葉(しねは)郷 | 浪江町、双葉町 大熊町、葛尾村 |
3日間にわたり繰り広げられる時代絵巻
これまでは7月に開催されていましたが、2024年からは猛暑を避けて、5月の最終土・日・月曜日の3日間に開催されることになりました。
主な内容 | |
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1日目 | ・お繰り出し(相馬太田神社・相馬小高神社・相馬中村神社) ・総大将お迎え(北郷陣屋) ・宵乗り競馬(雲雀ヶ原祭場地) など |
2日目 | ・お行列(野馬追通り) ・甲冑競馬(雲雀ヶ原祭場地) ・神旗争奪戦(雲雀ヶ原祭場地) など |
3日目 | ・野馬懸(相馬小高神社) |
<1日目>
『相馬三妙見神社』3社で出陣式が執り行われ、御本陣である雲雀ヶ原祭場地(南相馬市)へと繰り出します。
相馬中村神社を出陣した総大将率いる宇多郷軍勢を、副大将を中心とした北郷の騎馬武者らが「北郷陣屋」でお迎えします。当時さながらの緊迫感を間近で体感することができます。
<2日目>
お行列
朝9:30、南相馬市原町区に騎馬武者が集結。甲冑を身にまとい太刀を帯した勇壮な騎馬武者・約400騎が、御本陣を目指して約3キロを進軍。
甲冑競馬
先祖伝来の旗指物を風になびかせ、1周1000メートルを人馬一体となって力強く疾走する様子は大迫力。
神旗争奪戦
御神旗は、赤(相馬太田神社)、青(相馬中村神社)、黄(相馬小高神社)の3色。
いずれか2色が入った花火が打ち上げられると、騎馬武者たちが落ちてくる御神旗を目指して一斉にかけより、馬上から鞭で奪い合います。見事勝ち取った騎馬武者は、本陣山のある山頂に向け羊腸の坂を駆け上がり、総大将に報告します。
<3日目>
野馬懸
昔の名残を唯一とどめている神事で、絵馬の原点にも通じる行事です。
小高郷の騎馬らが相馬小高神社境内に、裸馬を追い込みます。それを白装束の御小人(おこびと)たちが素手で捕らえご神馬として神社に奉納。歴代当主は、この神事をもって領内の繁栄と平和・安寧を祈願してきたと伝わっています。
<相馬野馬追のお作法>
相馬野馬追にはルールがあります。楽しく安全に野馬追を観覧しましょう。
- お行列を2階など高いところから見下ろさない
- お行列を横切らない
→お殿様や武士の前を横切ったり、高いところから見下ろす行為は無礼になります
守らないと騎馬武者の方にお叱りを受けます - 馬の後ろに立たない
- 馬に手を出したり驚かせたりしない
- 馬にフラッシュなどをあてない
→当日は、馬と観客がとても接近します。